助けあいのかたち 私はダニエルブレイク感想
“人生は変えられる。
隣の誰かを助けるだけで。”
とても良い映画だったと思う。けど、このキャッチコピーは最後までピンと来なかった。
オープニング、福祉関係の行政担当者とダニエルとのやりとりからはじまる。
行政担当者は機械的な質問を繰り返し病気で仕事を失ったダニエルに全く寄り添う気配はない。馬鹿らしい質問にダニエルは痺れを切らして反抗してしまい、ペナルティを与えられてしまう。
オンライン申請をはじめ、効率化・機械化された行政手続きにダニエルは苛立ち続けるが、病気のため働けないので辛抱強く手続きを進める。
そんな中で彼は、行く先々で出会う、生活で困っている人に手を差し伸べる。ゴミ出しや犬の散歩マナーなど見知らぬ他人にも口煩い。遠慮がない。
はじめは面倒ながんこおやじにしか見えなかったのに、どんどん可愛く思えてくる不思議。
このダニエルの人情味へ惹き込まれる過程こそがこの映画の醍醐味だと思う。
世知辛さとあったかさが交互に描かれ、気持ちが揺さぶられる。
そしてあまりにあっけないラスト。
最後まで淡々と描かれる映画の中に流れる空気感、好き。
でもやっぱりキャッチコピーには納得がいかない。